作家 陳 舜臣 さん死去
2015年(平成27年)1月21日 死去 享年90歳
作家 陳 舜臣 さん死去
中国歴史小説の第1人者として知られ、日中両国の文化的懸け橋として活躍した直木賞作家の 陳 舜臣(ちん しゅんしん)さんが 2015年(平成27年)1月21日午前5時46分、老衰のため兵庫県神戸市内の病院で死去した。90歳だった。
1969年(昭和44年)、「青玉獅子香炉」で第60回直木賞を受賞。
1990年(平成2年)に日本国籍を取得。
1993年のNHK大河ドラマ「琉球の風」では原作を手掛けた。
代表作に「阿片戦争」「太平天国」「秘本三国志」「小説十八史略」などがある。
昨年5月には、「陳舜臣アジア文藝館」が神戸市中央区に開設され、「アジアの若者たちが国境を越え、文化を学ぶ場所になれば」と期待を寄せていた。

人物 / 略歴
陳 舜臣(ちん しゅんしん、1924年(大正13年)2月18日 ~ 2015年(平成27年)1月21日)
神戸の元町に生まれる。1990年に日本国籍を取得。推理小説、歴史小説作家、歴史著述家。
日本芸術院会員。
◆ 略 歴
1941年大阪外国語学校(現大阪大学外国語学部)印度語学科に入学。
1943年、同校を繰り上げ卒業。
同校に附設されていた西南亜細亜語研究所の助手となりインド語辞典の編纂作業などに従事する。
終戦にともない日本国籍を喪失したことから、退職。家業の貿易業に従事した。
1961年に神戸を舞台にした長編推理小説「枯草の根」で江戸川乱歩賞を受賞後、作家生活に入る。
初期の作品はミステリーが多く、江戸川乱歩賞、直木賞、日本推理作家協会賞を受賞している。
1967年、『阿片戦争』などから中国の歴史を題材にした作品を多く書き、日本における「中国歴史小説」ジャンルを確立して、多くの読者を持っている。
日本と中国の交流や、中国における仏教、イスラム教、キリスト教なども取り上げている。
琉球史を扱った『琉球の風』は1993年NHK大河ドラマ原作となる。
また、小説の他に『中国の歴史』をはじめとする一般向けの中国史も多数執筆している。
陳舜臣アジア文藝館が2014年に神戸市中央区に開館している。
2015年1月21日、老衰のため、神戸市内の病院で死去した。90歳没。
特記事項
本籍は台湾台北だったが、1973年に中華人民共和国の国籍を取得した。その後、1989年の天安門事件への批判を機に、1990年に日本国籍を取得。
みずからの著書で語るところによれば、後漢の陳寔の末裔。舜臣は陳家35代目である。
◆ 受賞および受章歴
◇ 第7回江戸川乱歩賞
◇ 第60回直木賞
◇ 第23回日本推理作家協会賞
◇ 第25回毎日出版文化賞
◇ 神戸市文化賞
◇ 第3回大佛次郎賞
◇ 第20回日本翻訳文化賞
◇ 第36回NHK放送文化賞
◇ 第40回読売文学賞随筆紀行賞
◇ 第26回吉川英治文学賞
◇ 朝日賞
◇ 第51回日本芸術院賞
◇ 第3回井上靖文化賞
◇ 大阪芸術賞
◇ 勲三等瑞宝章
◆ 小説(1990年以降)
◇ 異人館周辺 1990
◇ 戦国海商伝 1990
◇ 杭州菊花園 1990
◇ 五台山清涼寺 1990
◇ 楠木正成湊川の戦い 1990
◇ 海の微笑 1991
◇ 三本松伝説 1991
◇ 夢ざめの坂 1991
◇ 諸葛孔明 1991年
◇ 儒教三千年 1992年
◇ 琉球の風 1992年
◇ 神獣の爪 1992
◇ 聊斎志異考 中国の妖怪談義 1994
◇ 耶律楚材 1994年
◇ チンギス・ハーンの一族 1997年
◇ 曹操 魏の曹一族 1998年
◇ 山河在り 1999年
◇ 天球は翔ける アメリカ大陸横断鉄道秘話 2000
◇ 桃源郷 2001
◇ わが集外集 中国歴史小説 2002年
◇ 『青山一髪』、2003
◇ 中国美人伝 2004
◇ 曹操残夢 魏の曹一族 2005年
◆ 随筆・評論(1990年以降)
◇ 中国傑物伝 1991
◇ 走れ蝸牛 1991
◇ 世界の都市の物語 1992
◇ 元号の還暦 1992
◇ 仙薬と鯨 1992年
◇ 麒麟の志 1993
◇ 紙の道 ペーパーロード 1994年
◇ 随縁護花 1995
◇ 三国志と中国 1995
◇ 雨過天青 1995
◇ 秦の始皇帝 1995
◇ 中国随想 1997
◇ 世界の都市の物語 香港 1997
◇ 万邦の賓客?中国歴史紀行 1999年
◇ エッセイで綴る中国の歴史 2000
◇ 上海雑談 2000◇ 曼陀羅の山 七福神の散歩道 2001
◇ 風を観る 中国史随想 2001
◇ 沖縄の歴史と旅 2002
◇ 道半ば 2003年
◇ 神戸わがふるさと 2003年
◇ 史林有声 中国歴史随想 2003
◇ シルクロード悠々 2005
◇ 龍鳳のくに 中国王朝興亡の源流をたどる 2005
◇ 六甲随筆 2006
◇ 巷談中国近代英傑列伝 2006