作家 河野 多恵子 さん死去
2015年(平成27年)1月29日 死去 享年88歳
作家 河野多恵子 さん死去
「蟹」や「みいら採り猟奇譚」などの作品で知られる作家で文化勲章受章者の 河野 多恵子(こうの たえこ)さんが 2015年(平成27年)1月29日午後7時15分、呼吸不全のため東京都千代田区内の病院で死去した。88歳だった。
戦後、上京して作家丹羽文雄主宰「文学者」の同人となり、主に同誌に作品を発表。
新潮社同人雑誌賞を受けた「幼児狩り」で注目を集めた。
1963年(昭和38年)、「蟹」で第49回芥川賞を受賞。
その後、谷崎潤一郎賞や野間文芸賞など純文学の賞を軒並み獲得。また、女性初の芥川賞選考委員となったほか、文学賞の選考委員を多く務め、辛口で鋭敏な批評で知られた。

人物 / 略歴
河野 多惠子(こうの たえこ、1926年(大正15年)4月30日 ~ 2015年(平成27年)1月29日)
大阪府大阪市に生まれる。本名は市川多恵子。
夫は洋画家の市川泰(2012年没)。日本芸術院会員。
◆ 略 歴
旧制大阪府女子専門学校(現:大阪府立大学)卒業。
1950年、丹羽文雄主宰の『文学者』同人となる。
1961年『幼児狩り』で注目された。
1963年、『蟹』で芥川賞を受賞する。
大庭みな子と共に女性初の芥川賞選考委員となり、2007年まで務めた。
『谷崎文学と肯定の欲望』で読売文学賞を受賞するなど谷崎の読み手としても知られた。
2015年1月29日、呼吸不全のため死去。88歳没。
特記事項
平林たい子を高く評価し、平林たい子記念会理事長を務めた。
◆ 河野多惠子 / 受賞歴
◇ 1961年、『幼兒狩り』で新潮同人雑誌賞
◇ 1963年、『蟹』で芥川賞
◇ 1966年、『最後の時』で女流文学賞
◇ 1969年、『不意の声』で読売文学賞
◇ 1977年、『谷崎文学と肯定の欲望』で読売文学賞
◇ 1980年、『一年の牧歌』で谷崎潤一郎賞
◇ 1984年、日本芸術院賞
◇ 1991年、『みいら採り猟奇譚』で野間文芸賞
◇ 2000年、『後日の話』で毎日芸術賞
◇ 2002年、『半所有者』で川端康成文学賞
◇ 2002年、文化功労者
◇ 2014年、文化勲章
◆ 河野多惠子 / 著書
◇ 『幼児狩り』 1962
◇ 『美少女・蟹』 1963
◇ 『夢の城』1964
◇ 『男友達』1965
◇ 『最後の時』1966
◇ 『不意の声』1968
◇ 『背誓』1969
◇ 『草いきれ』1969
◇ 『回転扉』1970
◇ 『戯曲 嵐が丘』1970
◇ 『骨の肉』1971
◇ 『双夢』1973
◇ 『文学の奇蹟』1974
◇ 『無関係』1974
◇ 『私の泣きどころ』1974
◇ 『択ばれて在る日々』1974
◇ 『思いがけない旅』1975
◇ 『血と貝殻』1975
◇ 『谷崎文学と肯定の欲望』1976
◇ 『いすとりえっと』1977
◇ 『砂の檻』1977
◇ 『遠い夏』1977
◇ 『もうひとつの時間』1978
◇ 『妖術記』1978
◇ 『一年の牧歌』1980
◇ 『気分について』1982
◇ 『いくつもの時間』1983
◇ 『鳥にされた女』1989
◇ 『みいら採り猟奇譚』1990
◇ 『炎々の記』1992
◇ 『谷崎文学の愉しみ』1993
◇ 『蛙と算術』1993
◇ 『河野多恵子全集』1994-96
◇ 『図説『ジェイン・エア』と『嵐が丘』』1996
◇ 『ニューヨークめぐり会い』1997
◇ 『赤い脣黒い髪』1997
◇ 『後日の話』1999
◇ 『秘事』新潮社 2000
◇ 『半所有者』2001
◇ 『思いがけないこと』2002
◇ 『小説の秘密をめぐる十二章』2002
◇ 『臍の緒は妙薬』2007
◇ 『逆事』2011