作家 宮尾 登美子 さん死去
2014年(平成26年)12月30日 死去 享年88歳
作家 宮尾登美子 さん死去
小説「天璋院篤姫」や「鬼龍院花子の生涯」など、逆境を生き抜く女性たちの一生を描いた作家 宮尾 登美子(みやお とみこ)さんが 2014年(平成26年)12月30日午後9時17分、老衰のため東京都狛江市の自宅で死去した。88歳だった。
女性の生涯をテーマに多彩な作品を手掛け、「一絃の琴」で1979年に直木賞、2009年には文化功労者に選定された。
また、「鬼龍院花子の生涯」や「陽暉楼」など映画化作品も多く手掛けた。
徳川13代将軍、家定に嫁いだ篤姫の人生を描いた「天璋院篤姫」はNHK大河ドラマの原作にもなった。

人物 / 略歴
宮尾 登美子(みやお とみこ、1926年4月13日 ~ 2014年12月30日)
高知県高知市に生まれる。
◆ 略 歴
高知の遊郭で芸妓紹介業を営む岸田猛吾の子として生まれる。
1943年、高坂高等女学校を卒業。
吾川郡池川町(現:仁淀川町)の安居国民学校の代用教員となる。
1944年満蒙開拓団の一員として家族で満洲に渡る。敗戦のため辛酸をなめ、1946年高知へ引き揚げる。
1972年、それまで劣等感を感じていた生家のことを書く決心をし、『櫂』を自費出版、同作で太宰治賞を受賞し、出世作となる。
1979年『一絃の琴』で直木賞を受賞、53歳であった。
作品のテーマは一貫して女性であり、自伝ものから出発して、さまざまな分野に新境地を開いている。
『東福門院和子の涙』など、歴史の中で弄ばれるはかない女性を描いた歴史小説が有名。
2005年の大河ドラマ『義経』は、『宮尾本 平家物語』と『義経』が原作。
2008年には『天璋院篤姫』が大河ドラマ化された。
2014年12月30日、老衰のため88歳で死去。
特記事項
心臓神経症の持病もあって飛行機に乗れなかった。
◆ 受賞歴
◇ 1962年 『連』で婦人公論女流新人賞
◇ 1973年 『櫂』で第9回太宰治賞
◇ 1977年 『寒椿』で第16回女流文学賞
◇ 1979年 『一絃の琴』で第80回直木三十五賞
◇ 1982年 『序の舞』で第17回吉川英治文学賞
◇ 1989年 『松風の家』で第51回文藝春秋読者賞/紫綬褒章
◇ 1995年 『藏』でエランドール賞特別賞
◇ 1996年 第12回日本酒大賞
◇ 2008年 第56回菊池寛賞b
◇ 2009年 文化功労者
◇ 2010年 『錦』で第6回親鸞賞
◆ 著書
◇ 『櫂』 - 1972
◇ 『陽暉楼』 - 1976
◇ 『寒椿』 - 1977
◇ 『岩伍覚え書』 - 1977
◇ 『一絃の琴』 - 1978
◇ 『影絵』 - 1978
◇ 『鬼龍院花子の生涯』 - 1980
◇ 『母のたもと』 - 1980
◇ 『伽羅の香』 - 1981
◇ 『女のあしおと』 - 1981
◇ 『美しきものへの巡礼』 - 1981
◇ つむぎの糸 - 1981
◇ 『序の舞』 - 1982
◇ 『もう一つの出会い』 - 1982
◇ 楊梅(やまもも)の熟れる頃 - 1982
◇ 『花のきもの』 - 1983
◇ 『手とぼしの記』 - 1984
◇ 『天璋院篤姫』 - 1984
◇ 大人の味 辻嘉一対談 - 1985
◇ 『地に伏して花咲く』 - 1984
◇ 『朱夏』 - 1985
◇ 対談集『小さな花にも蝶』 - 1986
◇ 『女のこよみ』 - 1987
◇ 『春燈』 - 1988
◇ 『わたしの四季暦』 - 1988
◇ 『くらしのうた』(共著)1988
◇ 『私の四季暦』 - 1988
◇ 『松風の家』 - 1989~90
◇ 『きのね-柝の音』 - 1990
◇ 『菊亭八百善の人びと』 - 1991
◇ 宮尾登美子全集 全15巻 - 1992~1994
◇ 『藏』 - 1993
◇ 『東福門院和子の涙』 - 1993
◇ 『菊籬』 - 1995
◇ 『クレオパトラ』 - 1996
◇ 『記憶の断片』 - 1996
◇ 『天涯の花』 - 1998
◇ 『はずれの記』 - 1998
◇ 『きものがたり』 - 1999
◇ 『仁淀川』 - 2000
◇ 『宮尾本 平家物語』全4巻、 - 2001~2004
◇ 『めぐる季節を生きて』 - 002
◇ 『平家物語の女たち』 - 2004
◇ 『義経』 - 2004
◇ 『湿地帯』 - 2007
◇ 『篤姫の生涯』 - 2007
◇ 『錦』 - 2008
◇ 『人生のあしあと』 - 2009